【ネタバレ】読書感想文 『鏡の国のアリス』ルイス・キャロル(生野幸吉 訳)
概要
1865年に『不思議の国のアリス』を刊行して一躍有名人となったルイス・キャロルは、この作品の好評を受けて続編の構想を始めた。キャロルが『アリス』の出版者であるアレグザンダー・マクミランに宛てた1866年8月24日の手紙の中では、まだ明確な形をとっていないものの、続編を書く考えを抱き始めていることが記されており、そしてその年の暮れまでには実際に執筆に着手した[9]。
即興で作った前作とはちがい、構想を練り書き上げた作品だそうです。
前作でもタッグを組んだ挿絵作家のジョン・テニエルさんとの衝突などWikipediaを読んでいるだけでもいろいろなエピソードがあります。
今回読んだ文庫本も福音館書店版のため挿絵はジョン・テニエルさんのものでした。
物語のイメージを決めつけかねない挿絵ですが、前作同様見事な世界観で描かれています。
あらすじ( ※ネタバレ含む)
読書感想文
正直な感想ですが今作は前作ほどのインパクトもありませんし、ワクワク冒険感もなかったです。
ぶっ飛んだキャラクター達が登場するのは前作と変わりませんが、少しくどいところがあり物語の進むテンポが悪いように感じます。
しかしアリスは相変わらず好奇心旺盛、思いついたら即行動の猪突猛進少女なのです。一度鏡の世界に迷い込んだら「この世界のお庭はどうなっているのかしら?」と、ダッシュで家から飛び出します。
そこからは前作同様てんやわんやします。前作はトランプをモチーフにしたキャラクターが登場しましたが、今作はチェスをモチーフにしたキャラクター達が登場します。
クイーンやナイトですね。
そして作中の詩には『ジャバウォックの詩』があります。
ん?
ジャバウォック?
「力が欲しいか・・・・・・」
え?
「力が欲しいか・・・・・・」
えっ?
「力が欲しいなら・・・・・・くれてやる!!」
うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!
その瞬間主人公 高槻涼の右手は巨大かつグロテスクに変形します。その右手の正体は『ARMS』。高槻涼が幼い頃、瀕死の事故に遭った際に埋め込まれた人工兵器で強大な力を持っています。当時小学生だった僕はこの右手にめちゃくちゃ憧れました。まず右手だけが変化するというカッコよさ。やっぱり変身ものといえば仮面ライダーなどのように全身が変化するのが一般的だと思いますが、『ARMS』は移植された部位だけ。(第一形態では)。しかもその能力は時に暴走し持ち主にも制御ができなくなることもある。その設定に痺れました。そしてデザインがカッコよすぎる!少年誌に載る絵としてはギリギリのラインを攻めきってアウトな気もするようなグロテスクさ。作者の絵の変化とともに細部が段々と変わってはいきますが独特の一貫したデザインは(僕の中で)評価が高いです。正直最初に『ARMS』を読んだ時は独特な絵柄がキツく「気持ち悪いなあ」と思ったりしましたが、そこで読むのをやめなかったのはストーリーが素晴らしかったからです。自分たちの意思とは関係なく兵器を移植されてしまった少年達が『ARMS』の巨大な力を利用し世界を牛耳ろうとする謎の秘密結社『エグリゴリ』に立ち向かい成長していく物語。と書けば少年漫画っぽいですが、その内容はそんな枠組みに閉じ込められないぐらい濃厚かつ暗く、シリアス。当時からこんな内容よく少年誌で連載できるなあと不思議でした。たくさん人が死にますし暴力表現も結構エグい。そして物語が大人向け。しかし練りに練られた物語は小学生の僕にも魅力的でした。自分たちの意志だけでは制御できない強大な力を持ってしまい、たくさんの人を殺めてしまいながらも自分の大切なものを守るため、つらい戦いに挑んでいく。『ARMS』を生み出した張本人との戦いは『ARMS』と一緒に生きている高槻涼たちにとっては母との戦いのようなもの。「アイツが悪だ!」「やっつけた!俺たちヒーロー!!!」みたいなそんな単純な少年漫画チックじゃない苦しさや葛藤が描かれており今思い出してもやっぱり青年誌向けじゃね?って思ってしまうほど面白く濃い漫画。傑作です!ちなみに『ARMS』はアニメ化もされて、ぼくはめっちゃくちゃ観たかったんです。しかし当時僕が住んでいた家では電波が入らなく見れなかったんですよねえ。静岡県の浜松市に住んでいたんですが静岡県にはテレビ東京系のテレビ局がなくてですね、、、、ジャンプ系のアニメやおはスタなんかもリアルタイムで観られない、そんなかわいそうな子供時代だったんです。そのとき超絶流行っていたポケモンは2週遅れぐらいでTBS系で観れました。でもそんな2週遅れなんかで納得できるわけもなく。テレビ愛知の電波が入る家の子(生まれた時点で勝ち組)が毎週ポケモンとかは録ってくれて僕(生まれた時点で負け組)に貸してくれていたんです。今はネットが普及しているのでそのような友情は芽生えにくいかもしれないですね。そういえば『ARMS』はプレステ2でゲーム化されたことがあるんです。僕はその時ちょうどドハマりしているときで発売日に買ったような記憶があります。もしかしたら予約までしたかも、、、、で、購入したお店はGEOだったと思います。すごくほしかったゲームが手に入るとウキウキしながら家に帰りますよね。僕もウキウキして家に帰ったんです。期待に胸を膨らませていざ!プレイ!ステーション!したんですが、あれ?なんだこれ?なんかおかしいなあと思ったんですよ。確かに『ARMS』のゲームなんですよ。右手がグワア―――って変形してワラワラ湧いてくる敵をバシバシザクザクやっつけていく三国無双みたいなゲームで、大好きなマンガのキャラクターを操作できる楽しさはあったんですが、なにかがすっごく物足りないんですよね。なんだろうなあ~と考えてみたら気づいちゃったんですよね。そのゲームはキャラクターたちが一切声を発さず、表情も変えないんです。響くのは「ボカッ」とか「ガスッ」という効果音だけ。音が鳴ってはいるんだけどなんとも静かあ~~~な、お上品なゲームだったんですよ。ボコスカボコスカ敵を殴ってるのに全く声が聞こえないというのはなかなか不気味なもの、、、かつ味気ない。こんな静かな仕様のゲームになるなんて思っていなかったので僕はすごいショックでしたね。でもプレステ2のゲームなんて子供には高価なわけですよ。なので精一杯遊び倒しました。これは『クソゲー』ってことに気づいていても頑張って遊んでいました。その時、僕の心は死んでいたと思います。このことから僕は大事なことを学べたんです。まずアクションゲームには声が必要だ!漫画をゲームにするなら原作に対する愛情も必要だ、そして、、、
『クソゲー』は心を殺す。
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