だいてんねん ~月5,000円のミュージックライフ~

音楽、楽器、モノづくりが好きな20代後半既婚子持ちサラリーマン(男)が、月5,000円のお小遣いでエンジョイするミュージックライフを綴ります。

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アルバムレビュー CO2『Tokai』

こんにちは
 
いとう(@daitennen5)です。
 
 
11月13日にジャズテナーサックス奏者の片山広明さんが亡くなりました。
僕が初めて片山さんの演奏に触れたのは2006年の東京JAZZに渋さ知らズが出演した時。
テレビで見ていたんですがまず渋さ知らズに度肝を抜かれて、さらに最初にソロを吹いた片山さんのロックなサックスにノックアウトされました。僕のジャズやサックスに対するイメージを変えたミュージシャン、それが片山さんでした。
 
今回は片山さんが参加していたバンド CO2『Tokai』のレビューをします。

Tokai

吠えるサックスが超かっこいいアルバム。
 

 

Tokai

Tokai

 
商品のリンク先に貼っておきます。ぜひ聴いてほしい!
 
 

ではお付き合いくださーい。

 
 
目次
 

アルバム概要

2000年発表の日本を代表するジャズミュージシャンたちによって結成されたスーパーユニットのライブ・アルバム。
メンバーは
片山広明(T.Sax)
林栄一(A.Sax)
加藤崇之(Guitar)
早川岳晴(Bass)
芳垣安洋(Drum) 
まさにスーパーバンド。日本の凄腕変態ジャズ集団。
98年に結成され数度行われたライブの音源からベスト・テイクを集めたものだそうです。
 

収録曲レビュー

 

 1.Monday Night

ボッ、ボッ、ボッ、ボッ、という不気味なベースから始まるのですがこの時点でなんとも言えないフリーな空気が匂ってきています。

次第にパーカッションやサックスが参加してきてベースを軸とした演奏が続きますが、そのうちにベースが4ビートになると徐々にリズムが整いはじめます。

曲自体はシンプルなブルース進行なのですが、とにかく終始ベースがヤヴァイ。早川岳晴ベースはいつもスッゲエ音を出してます。でっかいゴムの玉をブリンブリンはじくような。個性的すぎてカッコいい。

そのベースに絡むドラムもグルーヴ満点。正直ベースとドラムだけで何杯も飯が食えそうな演奏なのですが、そこにど迫力のテナーとアルトが乗っかると場が熱くなる。熱すぎる!

さらにリズムが軌道に乗った頃に突如現れるエレキギター。狼の遠吠えのような音でシンプル but 変態なフレーズで切り込んできます。(どうやってこんな音出しているんでしょうか?)コレによって曲全体の不穏さが増大されドロドロなグルーヴの渦がグルグルぐるぐる。

 ベースも歪ませたりともう爆裂ブルースへと変貌。

正直この曲は2本のサックスがあまり印象に残ってないんです。ギター、ベース、ドラムのオリジナリティが爆発しすぎてそっちにしか耳が向かないです。

本当にみなさんすごすぎる。

最後はなんかしんみりと終わりますがそれもなんか面白い。

全体的に重いグルーヴなんですけど、楽器の音がロック感強めで結構聴きやすいので1曲目にふさわしいですね。

大好きな曲だ!

 

2.Unite

2本のサックスによるテーマから始まります。

このテーマがシンプルかつポップなフレーズでいいですね。

そしてギターの音がお見事にイカれてます。(どうやってこんな音出してるんだ?)

キメのフレーズからのまずはテナーソロ。

ロングトーンで切り込んできます。

めちゃカッコいい。ジャズというよりはフリーなロック。細かな音を切れ味鋭くリズムにのせています。音が爆裂してます。

続いてアルトのソロ。

軽快に細かくフレーズを重ねつつ、だんだんとフラジオなんか入ってきたりして感極まり高揚させます。とてもスムーズなフレーズ展開ですが熱さも十分。

そしてギターソロ。終始イカれた変態音でどこにいくのか分からないヨッパライのようなフレーズを繰り出し続けます。この変な音色とフレーズのマッチングが抜群でこの曲の印象を決定づけています。

演奏は盛り上がりを見せつつフェードアウト。まだまだ聴いていたいのに!ベースソロが始まりそうな気配がチラッとありましたが何かの事情でカットなのでしょうか。残念。

 

 

3.Blade Runner

ドローン系というかボーーーんと薄暗い地下を連想させる雰囲気。

ギターがディレイやリバーブを巧みに使いこの雰囲気を演出しています。

ギターを弾く加藤崇之氏は基本変態的な音色使いのイメージなんですが、時折現れるブルージーディストーションフレーズを聴くと確かな演奏力が分かるので振り幅すごすぎです。ギターにしか耳が向かん。

 

 

 

4.Tattata

まさにタイトルのような『タッタタッ』って感じの曲です。

冒頭のテーマ後すぐドラムがフューチャーされ凄まじい連打を決め込んでいます。スカッと抜けるスネアが爽快。

中盤はフリー的な要素が多い曲で激しく荒々しく緊迫した演奏が続き、最後にテーマに戻ります。2本のサックスが吠えまくっていて、カッコいい。テーマに戻りそうで戻らない焦らしもワクワクドキドキさせます。

 

5.Tejinshi No Rumba

ベースが冒頭からバブイブイいわせてます。

曲はなにかのテーマソングみたいな曲調で、マイナーなコードが怪しさを感じさせます。

とても渋さ知らズっぽい曲です。

テナーのソロが素晴らしい。流石の一言。

 

6.Hallelujah

ラストはメロディが美しいスローテンポの曲。

演奏者は5人だけなのに壮大でスケールのデカい音空間になっています。

それぞれのソロは渋く、熱いのですが、その中でもやっぱりテナーのソロが心に染みてきますね。

音1つ、フレーズ1つに周り全てを包み込むようなスケールのデカさを感じます。

懐がデカい音に包まれてこのアルバムは終焉。

ラストにふさわしい曲です。

 

 

 

1番好きな曲

 6.Hallelujah
1曲目と迷いましたがサックスが一番心に染みてくるのはこの曲でした。
サックスがホントにいい音してるんですよ。
 

まとめ

ベースがぶっ飛び、ギターはイカれ、ドラムは暴れん坊。

そんなオリジナリティだだ漏れのバックを従えフロントで鳴る2本のサックスは圧巻です。

僕はこのアルバムが大好きで10年ぐらい前に買って以来ずーーーーーっと聴いてて、今回片山さんが亡くなったのがとてもショックでした。
冒頭でも触れたように片山さんは僕の音楽的価値観を変えてくれた方です。
なのに僕は片山さんのライブに行けたことがないんです。渋さ知らズのライブにいってもちょうど参加していないときだったり、近所でライブがあるときも行けなかったり。いつか生であのサックスを聴きたい!と思っていたのですがついに叶わなくなってしまいました。やっぱりこの後悔は大きいです。
 
これからも自分が影響受けた方々がだんだんといなくなっていくと思います。
自分の人生において音楽はとても重要なもので、その重要な音楽において影響を与えてくれた方々のライブにもっと行かなければいけない。
まだまだ影響を受けたアーティストはたくさんいます。
今回のような後悔をしないようにこれからも音楽と関わっていこうと思います。
 
最後になりましたが、片山弘明さん。
たくさんのカッコいい音、本当にありがとうございました。
ご冥福をお祈りします。