読書感想文 横溝正史『八つ墓村』
それではお付き合いくださーい。
概要
横溝正史が1949年3月から1950年3月まで『新青年』という雑誌にて連載した作品。
金田一耕助シリーズの第4作目。(僕は3作目の『夜歩く』を読めていません。)
あらすじ
ヘビーな話なんでゆる~く書きます。
戦国時代、ある村に8人の落ち武者が逃げ延びてきた。
読書感想文
この恐ろしいあらすじ。あまりに有名なため僕もこのあらすじのみ知っていて本作の本筋は今まで知りませんでした。
なによりも猟奇殺人のビジュアル的インパクトが強すぎて出オチ感ハンパないです。
(コイツのせい)
発生する事件、結末に関しては本を読んでいただいたほうがいいと思うのでここでは書きませんが、僕が今作で気になったのは金田一耕助の立ち位置が前作たちと違うところでした。
今作の主人公は自分が呪われた家系出身ということを知らされた寺田辰弥です。
物語は彼の手記として語り口調で綴られています。
以前読んだ『獄門島』はナレーション形式での物語、『本陣殺人事件』は事件に関わったお医者さんの手記という形で物語が綴られましたので、耕助の目線での物語の綴り方ではないという点では同じです。しかし本作と決定的に違う点は両作とも主人公は金田一耕助で、彼を中心に物語が描かれていたのです。
それに比べ本作は寺田辰弥を中心とした物語になっており、金田一耕助は完全なるサブキャラとなっています。
そのため耕助の存在感がとーーっても薄い。めちゃ薄い。
はっきり言って物語の本筋にほとんど絡んできません。もちろん所々で捜査の手助けをし活躍はしているのですが、正直いなくても大丈夫じゃない?って具合です。
肝心の事件の解明、犯人の特定も耕助なしで成立してしまっています。(作中でも耕助本人がそのことについては言及しています。)
僕は今までこの『金田一耕助シリーズ』をほとんど知らなかったので、てっきりこのシリーズは『金田一耕助』が主人公となった物語たちで、彼の天才的な頭脳と推理によって難解な事件たちをキレイすっぱり気持ちよく解決していくものだと勝手に勘違いしていました。しかし以前読んだ『獄門島』では耕助は事件に翻弄され苦悩する姿を描かれており、そんな単純明快なシリーズではないんだと思った矢先での本作。
もはや耕助が主人公ですらない。というのは当時の読者も戸惑ったのではないでしょうか。
作中で辰弥は耕助の推理に感服したりしていますが、正直そんなすごい推理か?と思う場面が多々ありましたし、事件解決後の話し合いで耕助は「最初から犯人がわかっていた。しかし証拠が無いため捕まえられなかった。」とか言います。
耕助があまりにもカッコよくないのでスッキリしなかったです。
物語自体も後半の洞窟内のあーだこーだは正直もっと簡潔に書いた方がテンポ良かったんじゃないかと思います。洞窟内が必死かつ長くて途中から犯人の正体とかどうでもよくなっちゃいました。
さらに犯人の正体が判明するときとか、その後の末路とか描かれ方が雑に感じました。
素晴らしかった点は、冒頭の要蔵の鬼畜な事件の描かれ方 。ここは読んでて要蔵に対して本当に腹が立ちましたし、怖かったです。寒気がしました。おどろおどろしい文章に引き込まれこれからどんな事件が起こるのだろうとドキドキしました。
しかしその後のメインの物語が、あまり魅力がなくて拍子抜けでしたね。
正直今回は面白くなかったなあ。
まとめ
有名な作品である『八つ墓村』の原作を今回読んでみましたが、正直本作がたくさん映像化された理由がいまいちわからなかったです。
有名なためハードルが上がってしまってにそんなに面白くなかったという残念な結果でした。
でも冒頭の要蔵事件だけでも読むべきだと思います。
ここの文章は本当に引き込まれます。怖すぎです。
ぜひ1度読んでみてください!
ではまた。
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