だいてんねん ~月5,000円のミュージックライフ~

音楽、楽器、モノづくりが好きな20代後半既婚子持ちサラリーマン(男)が、月5,000円のお小遣いでエンジョイするミュージックライフを綴ります。

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読書感想文 横溝正史『八つ墓村』

こんにちは
 
いとう(@daitennen5)です。
 
今回の読書感想文は横溝正史八つ墓村です!
 

横溝正史自選集〈3〉八つ墓村

猟奇的殺人のイメージが強すぎて本筋の内容を全く知らない本作。
原作を読んでみましたが、金田一耕助の立ち位置がとても変わっている作品でした。
前回と同じようになるべくネタバレがない形で感想文書いていこうと思います!

それではお付き合いくださーい。

 
ただ若干はネタバレになっちゃうところはあると思いますのでご注意ください!
 

横溝正史『本陣殺人事件』の感想文はこちら ↓

daitennen-life.hatenablog.com

 

 横溝正史『獄門島』の感想文はこちら↓

daitennen-life.hatenablog.com

 

 
目次
 

概要

横溝正史が1949年3月から1950年3月まで『新青年』という雑誌にて連載した作品。

金田一耕助シリーズの第4作目。(僕は3作目の『夜歩く』を読めていません。)

横溝正史作品の中で最も多く映像化された作品で、ファンの中でも人気な作品の一つ。
連続殺人を描きたいと思い、坂口安悟『不連続殺人事件』やアガサ・クリスティABC殺人事件』などからインスパイアされ構想を練ったとのこと。この2作品とも僕は読んだことがないので今度読んでみたいと思います。
 
 

あらすじ

ヘビーな話なんでゆる~く書きます。

 

戦国時代、ある村に8人の落ち武者が逃げ延びてきた。

最初は村人たちとうまいこと仲良くやっていたが、時が立つにつれ村人たちは落ち武者たちが持っていると噂の財宝や、彼らにかけられた褒賞に目がくらみ彼らを皆殺しにすることを思いついちゃう。
これを思い切って実行しちゃったのはいいのだが、落ち武者の頭首が絶命の淵、呪いの言葉なんか口にしちゃうもんだから、それから村は大変なことに。
村には不吉な出来事が連発するようになったため落ち武者の祟りだと信じた村人たちは彼らの墓をたて祀ることにした。
これがこの村の名前『八つ墓村』の由縁である。
 
時が経ち大正時代。
八つ墓村で有力な多治見家に要蔵というそれはそれは頭のイカレたやつがいた。
要蔵は落ち武者殺害計画を首謀した村人の子孫。
彼は権力を使いやりたい放題。妻と子供がいながら気に入った女の子(鶴子)を自宅の蔵に閉じ込め無理やり自分のものにした。とにかくクソ野郎。
さらに鶴子の産んだ子供が自分の子ではないのではないかという疑念を抱いてから鶴子も子供もいじめ抜いた。
さすがに命の危険を感じた鶴子は逃げる。気づいた要蔵は懐中電灯2本を頭にぶっ挿し日本刀を振り回すスーパー気狂いモンスターへとレベルアップ。罪のない村人32人を惨殺し、山に逃げ込み消息不明となる自己中っぷり。村ではこの事件は落ち武者の祟りだと扱われ村人たちはとてもイヤ~な気持ちになった。
 
クソ野郎の事件から20数年後、跡とりがいない多治見家では鶴子の子供を呼び戻そうとする。その子供が本作の主人公 寺田辰弥。
自分の出生の秘密を知らされた辰弥はイヤ~な気持ちながらも八つ墓村に向かうことにする。
 
 

読書感想文

この恐ろしいあらすじ。あまりに有名なため僕もこのあらすじのみ知っていて本作の本筋は今まで知りませんでした。

なによりも猟奇殺人のビジュアル的インパクトが強すぎて出オチ感ハンパないです。

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(コイツのせい)

 

発生する事件、結末に関しては本を読んでいただいたほうがいいと思うのでここでは書きませんが、僕が今作で気になったのは金田一耕助の立ち位置が前作たちと違うところでした。

今作の主人公は自分が呪われた家系出身ということを知らされた寺田辰弥です。

物語は彼の手記として語り口調で綴られています。

以前読んだ『獄門島』はナレーション形式での物語、『本陣殺人事件』は事件に関わったお医者さんの手記という形で物語が綴られましたので、耕助の目線での物語の綴り方ではないという点では同じです。しかし本作と決定的に違う点は両作とも主人公は金田一耕助で、彼を中心に物語が描かれていたのです。

それに比べ本作は寺田辰弥を中心とした物語になっており、金田一耕助は完全なるサブキャラとなっています。

そのため耕助の存在感がとーーっても薄い。めちゃ薄い。

はっきり言って物語の本筋にほとんど絡んできません。もちろん所々で捜査の手助けをし活躍はしているのですが、正直いなくても大丈夫じゃない?って具合です。

肝心の事件の解明、犯人の特定も耕助なしで成立してしまっています。(作中でも耕助本人がそのことについては言及しています。)

僕は今までこの『金田一耕助シリーズ』をほとんど知らなかったので、てっきりこのシリーズは『金田一耕助』が主人公となった物語たちで、彼の天才的な頭脳と推理によって難解な事件たちをキレイすっぱり気持ちよく解決していくものだと勝手に勘違いしていました。しかし以前読んだ『獄門島』では耕助は事件に翻弄され苦悩する姿を描かれており、そんな単純明快なシリーズではないんだと思った矢先での本作。

もはや耕助が主人公ですらない。というのは当時の読者も戸惑ったのではないでしょうか。

作中で辰弥は耕助の推理に感服したりしていますが、正直そんなすごい推理か?と思う場面が多々ありましたし、事件解決後の話し合いで耕助は「最初から犯人がわかっていた。しかし証拠が無いため捕まえられなかった。」とか言います。

耕助があまりにもカッコよくないのでスッキリしなかったです。

 

物語自体も後半の洞窟内のあーだこーだは正直もっと簡潔に書いた方がテンポ良かったんじゃないかと思います。洞窟内が必死かつ長くて途中から犯人の正体とかどうでもよくなっちゃいました。

さらに犯人の正体が判明するときとか、その後の末路とか描かれ方が雑に感じました。

 

素晴らしかった点は、冒頭の要蔵の鬼畜な事件の描かれ方 。ここは読んでて要蔵に対して本当に腹が立ちましたし、怖かったです。寒気がしました。おどろおどろしい文章に引き込まれこれからどんな事件が起こるのだろうとドキドキしました。

しかしその後のメインの物語が、あまり魅力がなくて拍子抜けでしたね。

 

正直今回は面白くなかったなあ。

 

まとめ

有名な作品である『八つ墓村』の原作を今回読んでみましたが、正直本作がたくさん映像化された理由がいまいちわからなかったです。

有名なためハードルが上がってしまってにそんなに面白くなかったという残念な結果でした。

 

でも冒頭の要蔵事件だけでも読むべきだと思います。

ここの文章は本当に引き込まれます。怖すぎです。

ぜひ1度読んでみてください!

 

ではまた。

 

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